漢方治療とは
漢方は中国で長い時間をかけて発達したものが日本に渡り、独自の進化を遂げた伝統的な医学です。現れた症状だけを対象にするのではなく、患者様の体質や状態、ライフスタイル、季節などを考慮しながら処方するという特徴を持っています。そのため、同じ症状でも患者様によって処方が異なるケースがありますし、同じ患者様でも季節や体調の変化などによって処方が変化することもあります。また、現代医学では診断した病名と症状に合わせた治療を行いますが、漢方では冷えを温める、滞りを巡らせる、不足しているものを補うなど身体全体のバランスを整えることで症状の改善につなげます。そのため、冷え症治療でそれまで気付いていなかったむくみも解消したなど副次的な改善効果を得られることが少なくありません。なお、漢方というと長期間かけて少しずつ緩和させていく治療というイメージが強いと思いますが、風邪のように比較的短期間に効果を得られる疾患もあります。
こんな方にお勧めです
- 疲れがとれにくい
- 極度の疲労を速く改善させたい
- ニキビ・吹き出物ができやすい
- 肌荒れやシミができやすい
- 冷え性・肩こり・腰痛・血行循環不良
- アトピー・アレルギーの体質を良くしたい
- 体の酸化=老化に対するケア
漢方で効果が期待できる病気
体質やバランスを改善するため、漢方は基本的に全ての病気が治療対象になります。現代医学では改善が難しい病気や症状で漢方が得意としているもの、現代医学と併用することでより効果の期待できるものもあります。まずはご相談ください。
内科疾患
頭痛、胃腸炎、下痢や便秘、気管支喘息、頻尿、のどのつかえなど
皮膚疾患
アトピー性皮膚炎、ニキビ、乾癬、イボ、シミ、口内炎、主婦湿疹など
産婦人科疾患
月経困難症、月経前症候群、月経不順、更年期障害など
整形外科疾患
腰痛、神経痛、変形性関節症、関節リウマチなど
耳鼻科疾患
アレルギー性鼻炎、メニエール病、耳鳴り、慢性副鼻腔炎など
その他
冷え症、虚弱体質、体力低下、倦怠感、むくみ、目のかすみなど
漢方の診察方法
伝統的な漢方では、望診・聞診・問診・切診からなる〝四診〟という診察を行っています。医師の知識や経験に基づいて五感をフルに活用した診療方法です。
望診
視覚によって顔色、表情、体型、皮膚の状態、舌の状態などを観察します
聞診
聴覚による声の大きさや呼吸音などの観察、嗅覚によるにおいの観察をします
問診
既往症や病歴、自覚症状、体質、食べ物の好みなどを伺います
切診
触覚によって診察します。腹部をみる腹診と脈をみる脈診があります
なお、腹診は胃腸など腹部臓器の状態を確認するためだけではなく、全身の調子を確かめるためにも有効です。そのため、顔の皮膚に症状がある場合などでも腹診が重要になることもよくあります。
当院の漢方薬
当院では、保険診療の漢方治療を行っており、処方しているのは健康保険適用になっている漢方のエキス剤です。日本では148種類の漢方エキス製剤が保険適用されているため、幅広い疾患や症状に漢方治療が可能です。エキス剤は生薬を煎じた液体からエキス成分を抽出した製剤で、長期保存ができ、簡単に服用できるメリットがあります。
服用期間について
風邪や吐き気、下痢など急性症状に処方された漢方薬の場合は、比較的短期間に効果が得られますし、服用期間も長期に及ぶことはありません。体質改善が不可欠な冷え症や月経不順などの場合には、数か月~数年の服用が必要になります。ただし、冷えやのぼせがある場合は季節によって、お身体や環境の変化があればそれに合わせて処方を適切なものに調整しながら治療を続けることが重要です。そのため当院では患者様からお話をじっくり伺って、きめ細かく処方を調整しています。気になることがありましたら、なんでも気兼ねなくご相談ください。