生活習慣病

生活習慣病とは

代表的な生活習慣病には、高血圧症・脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、痛風などがあり、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる動脈硬化を進行させてしまうことから適切な治療が不可欠です。また、軽度の生活習慣病が複数あって肥満という状態はメタボリックシンドロームとされます。メタボリックシンドロームは検査の数値自体はそれぞれ高くなくても、動脈硬化リスクがとても高いため早急な治療が必要です。
生活習慣病の原因は、食べ過ぎ、脂質・糖質の過剰摂取、運動不足、喫煙、飲酒などの生活習慣ですから、治療では生活習慣の改善によるコントロールが重要になってきます。一定期間治療して完治という病気ではないため、地道にコントロールと治療を続けることが必要です。

糖尿病とは

血液中のブドウ糖が過剰な高血糖の状態になり、血管に大きな負担をかけ続けてしまう病気です。脳梗塞や心筋梗塞など重大な疾患の原因となる動脈硬化リスクが高くなるだけでなく、毛細血管にも大きなダメージを与えて深刻な合併症を起こし、失明、腎不全による人工透析、壊疽による足の切断などにつながることも珍しくありません。
早期に発見して生活習慣の改善など適切な治療を続ければ、深刻な状態に進行させず楽にコントロールしていくことができます。進行につれてコントロールが難しくなり、動脈硬化や合併症リスクが高くなってしまうため早めに受診するようおすすめしています。

糖尿病のタイプ

糖尿病を大きく分けると〝1型〟と〝2型〟に分けられます。

1型

膵臓の膵β細胞が壊れてしまってインスリンを全く分泌できない状態です。日本の糖尿病患者様全体の約5%を占めていて、若年層の発症が多い傾向があります。のどの渇き、多飲・多尿といった症状があり、インスリンを補充する治療が必要です。血糖値のコントロールを適切に行えるようになれば、発症前とあまり変わらない生活を送ることができます。また、膵臓移植といった治療も行われることがあり、腎不全が合併している場合には腎臓移植を同時に行うこともあります。

2型

食べ過ぎや運動不足、肥満などの生活習慣、ストレス、加齢、遺伝的要因、他の病気、妊娠中の糖代謝異常などによって起こる糖尿病です。日本の糖尿病患者様全体の約95%を占めています。治療では血糖値だけでなく、体重や血圧、血中脂質など他の生活習慣病の要因も正常にコントロールし続けることが重要です。

糖尿病の合併症

高血糖は全身の毛細血管にダメージを与え続けるため。細小血管合併症を起こしやすい病気です。特に発症頻度が高く注意が必要なものに、網膜症・腎症・神経障害があって、失明、腎不全による人工透析、壊疽による足の切断などにつながる可能性があります。また、動脈硬化を進行させやすいため、冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患などにより脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも上昇します。こうした深刻な合併症を起こさないためにも、生活習慣の改善と治療を続けて、しっかりコントロールしていきましょう。

2型糖尿病の治療

血糖値を正常にコントロールするだけでなく、体重や血圧、血中脂質のコントロールも不可欠です。暴飲暴食を避け、1日3回、糖質・脂肪を抑えたバランスの良い食事を規則正しくとり、1日約80kcalを消費する軽い運動を習慣化します。こうした食事療法や運動療法は、続けることが重要ですから、無理なくできるよう患者様とご相談しながらきめ細かくアドバイスをさしあげています。食事療法や運動療法だけで数値が大幅に改善するケースもありますし、早期の受診であれば楽な内容で改善が可能です。
こうした食事療法や運動療法では十分な改善が見込めないケースでは、薬の内服やインスリン注射なども同時に行っていきます。

高血圧とは

血液は心臓の収縮によって押し出されて全身に届きます。血圧は、心臓から血液が送り出された時に血管が受ける圧力のことで、高血圧になると血管が負担を受け続けて動脈硬化を進行させてしまいます。最高血圧が140mmHg以上あるいは最低血圧が90mmHg以上を高血圧とされます。心筋梗塞や脳梗塞、そして狭心症や腎臓病を発症するリスクが高くなってしまうためできるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。

高血圧の原因

高血圧症になる原因がはっきりとわかるのは病気の症状や薬の副作用による2次性高血圧だけであり、生活習慣病としての高血圧はいくつもの要因が作用して発症していると考えられています。塩分の過剰摂取、喫煙、飲酒、運動不足、ストレスなどの環境、そして遺伝的な要因が高血圧発症にかかわっていることがわかっています。

高血圧の治療

1日6g未満の減塩、適正体重(BMI25未満)を保つ、適度な運動を続けるといった食事療法と運動療法による生活習慣の改善が最も重要です。当院ではできるだけ無理なく続けられるよう患者様とご相談しながら具体的できめ細かいアドバイスを行っています。生活習慣の改善だけで数値が大幅に改善することもありますし、早期の受診であればこれまでの生活とあまり変えずに楽な内容で改善が可能です。効果をご実感いただくために、ご自宅でもこまめに血圧を測ることをおすすめしています。

脂質異常症とは

血液には、細胞膜やホルモン、胆汁酸などを作る役割を担っているコレステロールなどの脂質が含まれています。この脂質には、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪のトリグリセライドがあって、バランスが崩れると動脈硬化や血管の狭窄・閉塞をもたらして狭心症や心筋梗塞、脳梗塞につながるリスクがあります。悪玉や中性脂肪が多く脂質が血管内部に蓄積しやすい高脂血症に加え、善玉が少ない状態も問題が多いことから、それを含めて脂質異常症でと呼ばれています。
脂質異常症は自覚症状に乏しい傾向がある生活習慣病の中でも特に症状に気付きにくい病気です。健康診断で脂質異常症を指摘された場合はできるだけ早い受診をおすすめします。

脂質異常症の治療

悪玉が多い高LDLコレステロール血症、中性脂肪が多い高トリグリセライド血症、善玉が少ない低HDLコレステロール血症の3タイプに分けられます。食事療法、有酸素運動をメインとした運動療法、そして薬物療法を行いますが、タイプごとに治療薬や生活習慣改善法が変わってきます。

タイプ別 特に注意したい生活習慣改善ポイント

高LDLコレステロール血症

食事では、動物性脂肪を減らしてください

高トリグリセライド血症

カロリーコントロールが重要です。糖質や飲酒を控えましょう

低HDLコレステロール血症
適正体重を保つようにします

高尿酸血症(痛風)とは

高尿酸血症は、血中の尿酸が高い状態です。水分に溶けにくい尿酸は尿酸塩として血液に存在していますが、尿酸が増えると結晶化します。尿酸結晶は鋭い針状の突起を持っているため、足の親指などの関節にたまって激しい痛みを生じることがありますが、これが痛風発作です。高尿酸血症による尿酸塩の結晶は痛風発作以外にも、腎臓障害などを起こす可能性があります。

尿酸とプリン体

体内の尿酸を作り出すのは飲食物に含まれるプリン体です。プリン体は、レバー、エビ、カツオ、タラコやウニ、アルコール飲料などに多く含まれています。こうしたプリン体を多く含む飲食物の摂取を控えることで進行を防ぎます。なお、ビールのプリン体が多いことは有名ですが、他のアルコールも尿酸値を上げてしまうため飲酒自体を控えるよう心がけてください。

高尿酸血症(痛風)の治療

適正体重を保つ食事療法と運動療法に加え、プリン体を多く含む飲食物の摂取を控えます。お酒もできるだけ減らすようにしてください。薬物療法では、尿酸の生成抑制・尿酸の排泄促進の効果がある薬剤を用います。尿酸値を急激に下げてしまうのも痛風発作につながるなどのトラブルを起こす可能性があります。目標尿酸値は7.0mg/dL以下ですが、少しずつ下げるようコントロールします。

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